兄弟育児とはとても難しいものです。
普段は元気で明るい性格の三男(小3)が、失禁して学校やスポーツ少年団からかえってくることが数回続きました。1歳半でトイレトレーニングが完了した三男は、私の記憶の中に、おもらしをした記憶はありませんでした。「これは何か三男に起こっている」直感的に母親の感がそう感じました。
今回は、この三男の過活動膀胱(尿失禁)が完治するまでの、最近の我が家のエピソードを紹介します。
少量の尿失禁
2022.9月中旬、小学校にお迎えに行ったり、スポーツ少年団から帰ってくると、よく見るとズボンの股が少し変色していることがありました。
上着で隠していたり、夏場で運動会練習も重なり汗を大量にかくことや、スボン全体ではなく、股の付近少しだけ湿っているような感じだったことから、周囲にはばれてはいない様子。
私からの「どうしたの?」の問いかけに、
本人からの返答は「トイレに行くのがめんどくさいから、ちょっと出しただけ」といういたってシンプルな回答でした。
なんだそれは。ふつうはトイレに行くだろう。。。
というのが私の率直な気持ちだったのですが、ふつうはトイレに行くのがめんどくさくならないだろう、めんどくさくても今まではトイレに行っていたのに・・・という心の中での葛藤があったので、
「トイレめんどくさくても、行ったほうがいいよ。匂いとかでばれたら恥ずかしいよ」と話をしました。
夜はぐっすりと眠って、朝までトイレに行くこともなく、相変わらずおもらしもしない三男なのです。
4~5回ほど発見した後、これはおかしいと思い、膀胱炎とか病気なのかもと近くの診療所を受診すると、思いがけない診断結果でした。
診断結果「神経性過活動膀胱」
神経性過活動膀胱・・・要は、心因性のストレスなどにより昼間、何度もおしっこがしたくなる。さっき尿が出たのに、3分後にまた尿がしたくなり、実際にはちょろっとしか出ない。ということでした。
こどもに多いストレスの症状のようで、小児泌尿器科で詳しく体を検査しても不調は見つからないことが多いけど、念のため、市立病院で体の検査もしておきましょうと言われました。
そして、その次の医師のことばにもっと私はびっくりしたのですが、
三男を向き、「何か嫌なことやしんどいことがある?」と質問するのです。
何も答えずそっぽむく三男。医師はしつこく色んな質問をしてきました。
「家族は何人いるの?兄弟はいる??学校では何の教科が一番すき?嫌いな教科は?お友達はいる??」
はじめは無視して答えなかった息子もしつこく何度も聞いてくるので、少し片言で答え始めました。
「5人家族で兄がいます。赤ちゃんみたいな兄だけど。図工が一番好き。体育が一番嫌い。友達はいない」というのが息子の回答でした。
「嫌なこととか何でも話せる人はいる?」という医師の質問にそっぽ向きながら「いない」と答えていました。
そして私のほうを向き直って医師が
「学校もスポーツ少年団も行きたくないなら行く必要ありませんよ。少しゆっくりする時間が必要です。トイレがめんどくさいというのは普通ではありませんから」と言いました。
そして、漢方薬が処方され、病院を後にしました。
受診後の帰り道
病院からの帰り道、三男とこんな話をしました。
私「スポ少、行きたくないの??何かあった??」
三男「行きたくない。嫌なこと言われた」
私「じゃあ、スポ少しばらく休もうか。夫と監督に話に行こう。学校はどうする??」
三男「学校も行きたくない」
私「じゃあ、学校の先生にも話をして、少し休むって言おうね。なんでって聞かれると思うけど、おしっこのこと話してもいい??」
三男「父ちゃんも何ていうかなぁ。体調不良って体の調子がよくないって話してほしい」
私「ぜったい治るから大丈夫だよ。少し忙しすぎたから、休もうね。」
三男「しょんべん野郎を吹っ飛ばすぞー」
こんな会話をしました。
夫の反応
三男の尿失禁の話は夫に話していませんでした。
夫は口が軽くて、人の言われたくないことも悪気なく人前で話すところがあるので、三男の名誉にかけて、知らせずに治るならそれでいいと思っていました。
しかし、夫はスポーツ少年団でコーチをしているし、学校も休むとなると事情を話す必要があります。
病院受診が終わり、三男と話した後、夫に電話して事情を説明しました。
何も知らない夫は、びっくりしたようで、
「そんなのめんどくさがらずにトイレに行けばいいだけの話だろう。週末にも試合が控えているし、休むなんて人数も少ないのに、どう説明するんだ。」と言っていました。
夫と監督は職場が同じなので、「とにかく監督にも話に行きたいから、夕方監督と話せる時間あるかな?」と夫にアポイントを頼みました。
まぁ、簡単にわかったと言うはずないと思っていたので、病院で診断書をもらっていたので見せることにしました。
結果、監督と夫に話をして、しばらく体調が戻るまで、スポーツ少年団を休むことを説明しました。三男も一緒に同行していましたが、あまりしゃべらず、私がほとんで話していました。
学校の反応
そして、受診後登校する予定だった学校へも欠席することと、しばらくお休みすることを連絡しました。
夕方担任の先生から折り返しの電話があり、詳しく状況を説明しました。
学校ではいつも通りすごしており、異変は担任も気づいていませんでした。
しばらく休むということについては、学校はどうにか登校しながらケアすることはできないかと言われましたが、少し休むという三男の気持ちを尊重したかったので、体調が整ってから登校したいと伝えました。
快復までの取り組み(前半)
こうして、三男が日中家にいる状況が開始しました。
ふたごの登校しぶりなども経験していたので、学校を休むということに私は抵抗はありませんでした。
だらだらと時間が過ぎていきましたが、もとから早寝早起き体質ということもあり、朝は6時に起きて、朝ご飯を食べ、ふたごの兄ちゃんズが登校して学校から三男の宿題やプリントなどを持ち帰ってくるという、日々が続きました。
そんな中、不安な気持をあまり表に出さない三男に寄り添うため、私なりにいくつか取り組んだことがあります。
親の不安は見せない
三男が過活動膀胱と診断を受けて、私も動揺しなかったわけではありません。しかし、教員のお子さんや意外とたくさん我が家も昔経験した…というお話を聞いたので、絶対に治るんだ!という確証が持てたことで、三男に対して、取り乱したりせず、私はいつも通りの様子で接することができたと思います。
親の不安は子どもに伝染することはふたごで経験済みでしたので、電話で三男の様子を聞かれても、三男の聞こえるところでは話さないようにしたりと、気配りはしていました。
尿失禁を怒らない
当たり前ですが、「トイレに行くのがめんどくさくてその場で出している」と言う三男の説明を聞くと、「トイレに行くのをめんどくさがらないで」と言う他ないのですが、様子をみていると食後5分の間に3回もトイレに行っていることがありました。
そんな様子を見ていると、トイレに行くのがめんどくさくなるのも理解できるほど、何度もトイレに行くことがあるのです。
そして、おしっこが漏れるとズボンもパンツも着替えるので、一日に8~10着ほどのズボンやパンツの洗濯物がでて、着替えもなくなるということもありました。
それでも、だまって洗濯して、とにかく着替えるのもめんどくさくならないように、漏れちゃったら着替えてね!と話していました。
少し大きくてもふたごの服がたくさんあるので、三男のパンツやズボンがないときはふたごのを着てもらいました。
しつこく聞かない
夫や学校からは、何が原因なのかとしつこく聞かれました。
三男ではなく私に聞いてくるので、結果的に三男を質問責めにすることがなかったのは良かったと思います。
私は、寝る前や、食事中、運転中などに三男が少しづつ話してくる内容を聞き、少し質問したりして、具体的な嫌なことや人など、あまり何度も聞かないように気をつけていました。
家庭学習の継続
学校に登校しない日が続くと、家でタブレットやTVを見る時間が多く、勉強の遅れが気になりました。チャレンジタッチをしているので、毎日「YouTubeを見るためにはメインレッスンを4つ終わってから」というのは約束しました。
結果、テストだけは受けてほしいと学校から連絡があり、4教科受けましたが、完全家庭学習のみの状況で、算数と理科は裏表100点とって帰ってきて、学習は家庭でも進めていけるという事実が分かり、それからは学校も「市立病院の受診後までは休む」ということを受け入れてくれました。
意欲をもって取り組めることを探す・継続する
この時期、習い事の「そろばん」には通っていました。
三男の意欲をもって取り組めることを探していると、「そろばんには行く」というのです。学校へは理解していただいていましたが、お友達からは「学校休んでるのに、そろばんには来てた」と学校でも話している子がいたことを担任から聞いていました。
それでも通うという選択をしたのは、そろばんは飛び級をしてたりと調子が良く、検定試験前で試験に受かったら、三男より2年早く始めた友達に追いつくことができると、本人の意欲がありました。そろばんの先生も、多くを聞かず、温かく普段通りに接してくださり、居場所となっていたことから、自信につながるのではと私も感じていました。
また、タブレットやTVばかりにならないように、「学校では教えてくれない大切なこと」というシリーズの本もたくさん購入しました。
コロコロコミックデビューもしました。
プラモデルもミニプラを作りたいという三男の希望から、2個作りました。
家事もお風呂掃除を積極的にしてくれました。
料理は卵焼きが一人で作れるようになりました。
日中、私がリモートで仕事をしている姿を見ていたからか、「大人になっても勉強したり仕事や家事とめんどくさいこともしないといけないんだね」という言葉も三男から聞くことがありました。少しづつ、気持ちを整理して、乗り越えていったのではないかと思います。
登校しないと一日があっという間
これは三男が11月ごろに話していた言葉です。
学校やスポーツ少年団に行っていたころは一日がとても長くて、時間が過ぎるのが遅かったのに、家で過ごしていると一日が早すぎる・・・というのです。
朝7時に学校に行くバスに乗るために家を出て、夕方帰ってきたら急いで宿題をして着替えて、おやつを食べると、スポーツ少年団から家に帰ってくるのは夜7時半ごろになることも普通でした。帰宅すると、お風呂と食事を済ませてYouTubeを1時間見るのが楽しみでした。
平日ゆっくり話す時間も取れなくて、三男息抜きがもっとできていたら…と、私も今回かなり反省しました。
尿パットの使用
11月上旬、1日に15回以上ズボンを着替えたりして、家にいると落ち着いていた症状が悪化した日がありました。それから、尿パットを使用することにしたのです。
尿パットははじめは20㏄でしたが、45㏄の次は80㏄と次第に容量が大きいものを使用しました。そろばんや学校でテストを受けるなど、すぐに外出時は必要不可欠となり、そのうち常時使用していました。
快復までの取り組み(後半)
小児泌尿器科は、12月上旬に予約していました。
市立病院受診のためには飛行機に乗って1泊する必要があったため、私と三男の二人旅で、楽しもうと決めていました。
そして、この受診を機に、快復に向けて具体的に取り組むことができたのです。
市立病院の受診
市立病院の受診では、回転ずしやマクドナルドを食べに行ったり、ゲームセンターでユーフォーキャッチャーをすることなど、楽しみな計画を立てていました。
夫やふたごへのおみやげにドーナツを買って帰ろうと話したり、バイキングや買い物など、楽しい予定を立てて、レンタカーの中ではふたりではまっていたDa-iCEのスターマインをかけて、楽しい時間を過ごしました。
そして、病院について、受診すると様々な具体的アドバイスをいただきました。
受診内容と医師からのアドバイス
受診内容は、以下の通りでした。
紹介状を読み、病状を三男や私が説明した後、超音波で腎臓や尿道などを検査し、異常は見当たらず、回復に向けて、以下の取り組みをするようにとのことでした。
- 尿量や排尿時間を記録する
- 日中の決まった時間にトイレにいく習慣をつける
- 運動する
- 尿パットをやめる
薬の処方もなく、もしかしたら尿道などに異常があるのではと、内心考えていた私にとって、意外なほどあっさしと受診が終わりました。
それでも、医師からのアドバイス通りに取り組もうと、三男と二人で決意して帰宅しました。
尿量測定と記録&2時間ごとのトイレ
家に帰る途中の百均で料理用の計量カップ300㏄を2つ購入しました。
ノートに日付を書き、時間と尿量を記録するように、小便器付近に計量カップとノートと時計を設置しました。
そして、Amazonのアレクサのリマインダーに、朝7時から夜9時まで、2時間ごとに「トイレの時間だよ」と家じゅう聞こえる音量でアナウンスしてもらうよう設定しました。
三男が計量カップにおしっこをしているのをみると、ふたごもそろって計量カップにおしっこをするようになりました。ふたごは尿量が多いことがわかり、一度に300㏄以上おしっこがでて溢れることもありましたが、小便器からこぼれることはなかったので、小便器があって本当に助かりました。
真似をするということの学習スキルを、幼い頃がんばって習得して良かった。私の見ていないところでもふたごがたくさん学んでいるということを感じる出来事でした。
尿パットの使用をやめる
そして、帰宅した次の日から家にいる間の尿パット使用をやめる話し合いをしました。本当は外出時もやめてしまいたかったのですが、三男が外出時は不安だと抵抗したのです。
そこで、外出時に使用しても、家に帰ったらすぐに外すように約束しました。
しばらくは、また大量の洗濯物がでる日が続きましたが、少しづつ症状がよくなっていきました。
そして、徐々に、外出時も尿パットをするのを忘れて出かけることが増え、やめることができました。
マリネス地獄の19分
問題は運動でした。学校を休んでから、マリネスやヨガなど、YouTubeをみながら、私とストレッチをしていましたが、がっつりと運動はしていませんでした。
そこで二人で話し合って、マリネスの40分近いものや、地獄の19分など、とてもきついものにもチャレンジしました。私も、一緒にダイエットできたらいいなと一人ではなかなかできない運動ができて楽しかったです。
夫と二人でも話し合って決めて、家の周りをジョギング+キャッチボール+縄跳び+ストレッチというメニューにも取り組んでいました。
この頃に夫もようやく、回復に向けての運動を三男が楽しそうに取り組むことに協力してくれました。
登校開始
市立病院の受診をした後は学校にも登校してほしいと、再三担任から連絡を受けていたので、三男と相談の上で午前中1時間程度から登校を再開しました。
尿量の計測や時間ごとのトイレも継続する必要があったので、学校に一日登校して授業を受けるのは難しいことなどを説明すると、学校でも教師用トイレで尿量測定など実施することができると、有難いお言葉は頂いたのですが、本人と相談の上、午前中をめどに登校することにしました。
三男を学校に送り迎えすると、支援学級にいるふたごが私の車を発見して、車に乗り込んで「帰る」と言うことが何度かありました。
その度に支援学級担任にご迷惑をおかけしていることなどから、スクールバス定期で午前中下校することができるということで、給食前の4時間目が終わったら、家に帰ってきました。
その頃は、2学期残り2週間程度だったので、早く冬休みにならないかなぁと、私もふたごも三男も冬休みを楽しみに、一日一日を過ごしていました。
記録してわかったこと
市立病院の医師からの具体的取組の効果は絶大でした。
尿量の測定では、はじめは一度に20㏄も出ていないことがわかり、1日20回以上トイレに行っていました。
しかし、次第に一度の尿量が50㏄~150㏄と増えていき、300㏄超えることも出てきました。
めんどくさがりな三男なので、私が声をかけないとリマインダーを無視することもあったのですが、リマインダーは本当に優秀で、私の代わりに夫が声をかけていることもありました。
また、記録も小便器を利用する夫のほうが、記録してなかったら記録を促していたので、夫なりに心配していたこともよくわかりました。
気づいたら完治
このようにして、三男の体調が整っていきました。
冬休みの期間に完治したことは確かなのですが、はっきりとした日時はわかりません。それくらい、気が楽になったときに、治るものなのかもしれません。
はじめは心因性という診断を信じていなかった私も、結果的にストレスにより体調を崩してしまったという事実を受け入れ、快復まで寄り添うことができました。
次回予告(2023.1)家族そろってコロナ
こうやって冬休みも終わりが近づき、三学期開始間近で家族そろってコロナ感染した様子を近況「[2023.1]家族そろってコロナ陽性」でお伝えしていきます。
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